松山市千舟町コミニュティーセンターにて開催された愛媛県歯科医師会主催第一回愛媛県歯科医学大会において、下記の発表を行った。
演題 顎矯正手術を適用した顎変形症例
演者 岡健治 所属 松山市歯科医師会
共同演者小林一夫 浜田裕一 徳永和代 弓削俊彦 所属 愛媛県立中央病院形成外科
緒言:平成2年より、高度先進医療の一環として、特定病院に限定し認可された顎変形症に係わる術前術後の矯正治療の健保適用が、平成8年以降、施設基準に適合していると都道府県知事が認める保険医療機関にまで緩和承認された。以上のような事由から、近年、当県における顎矯正手術を適用した顎変形症患者が増加傾向にあるという。演者らは2002年愛媛県歯科医師会学術発表会において上下顎同時移動術を行った顎変形症患者の矯正治療例を報告した。今回、下顎後退術のみ施術された下顎前突者について、その適用の根拠となった骨格的形態の特徴、ならびに既に確立された手術方法である下顎矢状分割術の手術結果について報告する。
方法:対象は当院において顎変形症、骨格性下顎前突と診断され、愛媛県立中央病院形成外科にて、下顎枝矢状分割術を施術された患者の内、唇顎口蓋裂、顎顔面の左右非対称の著しいもの、上顎骨切りを併用したものを除く18症例について調査した
結論:手術時患者年齢は平均22.2才、頭部X線規格写真による上下顎骨の前後的不調和を示す代表的計測項目Wits,ANB,APDI, McNamara (Point A, Pog.)の平均値、ならびに標準偏差は各々-12.7mm 3.02mm,-3.3° 2.41°, 91.1°27.77° 0.6mm,2.68mm、6.0mm4.21mm、術前の予測下顎後方移動量は平均値7.1mmであった。顎間固定期間、手術時間、出血量の平均値は各々11.9日、192.8分、170.8ccまた、5症例は、下唇赤唇部に術後知覚の左右差を認めたものの時間の経過とともに消失した。矯正単独では歯軸の過度の傾斜、歯肉の退縮、術後のrelapseが予測される骨格性下顎前突者において下顎後退術を併用することは必須であるが外科的矯正治療を忌避する患者も少なくない。今回の結果を元により多くの治療計画上の選択肢を患者に提供する所存である